日本泌尿器科学会雑誌
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原著
尿路上皮癌BCG膀胱内注入療法によるReiter症候群―自験例の6症例を加えた本邦過去13年間の症例報告のまとめ―
小池 繭美夏山 隆夫松﨑 香奈子横田 英介塩澤 真司千葉 量人赤倉 功一郎
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キーワード: 尿路上皮癌, BCG, Reiter症候群
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2015 年 106 巻 4 号 p. 238-242

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抄録

(目的)尿路上皮癌に対するBCG膀胱内注入療法の副作用の一つとして,関節炎や結膜炎を合併するReiter症候群が知られている.自験例を含め,本邦におけるBCG膀胱内注入療法によるReiter症候群の報告を集計し解析を加えた.

(方法)医学中央雑誌の検索システムを使用し,2000年から2013年に発表された報告を対象とした.自験例の6例を含む101例について検討した.

(結果)男女比は14:5,平均年齢は63.1歳,平均投与回数は5.7回,最終投与から発症までの中央値は6日,使用株は東京株が多かった.7割に眼症状の先行を認めた.初期治療にNSAIDsや抗結核薬を用いた場合,半数以上でステロイドの追加投与が必要であった.治療日数の中央値は90日,入院日数の中央値は23日であった.HLA検索が行われた43例のうちHLA-B27陽性はわずか1例であり,他のHLA因子の記載があった9例のうち4例がHLA-B61陽性,3例がB39,B51陽性であった.

(結論)BCG膀胱内注入療法によるReiter症候群では,結膜炎発症後に多発関節炎を呈することが多い.初期治療にはNSAIDsが推奨されるが,効果が乏しい場合にはステロイド治療介入が必要である.

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© 2015 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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