日本口腔腫瘍学会誌
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舌口底癌切除後再建患者の術後機能に関する主観評価
―アンケートによる多施設研究―
松井 義郎大野 康亮代田 達夫道脇 幸博高橋 浩二山下 夕香里吉増 秀實天笠 光雄岡部 貞夫小野 貢伸鄭 漢忠戸塚 靖則冨塚 謙一藤林 孝司里見 貴央千葉 博茂松浦 正朗瀬戸 〓一佐藤 徹浅田 洸一石橋 克禮海野 智藤田 淨秀木下 靭彦山本 友美飯田 征二大倉 正也古郷 幹彦細田 超大部 一成大関 悟
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2007 年 19 巻 1 号 p. 7-18

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抄録

本研究では, 口腔癌の治療法や再建手技の選択, さらには術後機能の改善に役立てることを目的として実施された多施設共同研究の中から, 舌・口底癌切除後に (筋) 皮弁を用いた再建手術を受けた患者が自らの術後機能をどのように主観評価しているかについて統一されたアンケートを用いて調査した結果について報告した。
13施設から登録された81症例を切除部位により側方型 (L群) 51名, 前方型 (A群) : 17名, および混合型 (C群) : 13名に分けた。さらに切除範囲の大きさによりL群を3つの亜群に, またA群を2つの亜群に細分類した。再建 (筋) 皮弁は遊離前腕皮弁 (RFF) が50例ともっとも多く, ついで遊離腹直筋 (RAMCF) 18例, 大胸筋 (PMMCF) 11例, その他2例であった。
アンケート調査は4つの分野: 治療後の会話, 食生活, 摂食嚥下機能 (口腔相と咽頭相) , に関する14項目について切除部位, 大きさの影響と合わせて, 再建 (筋) 皮弁の違いによる影響について検討した。
その結果, 全体としてはL群, かつ切除範囲が小さい患者が高い値を示した。また可動部舌半側切除群では腹直筋皮弁より前腕皮弁で再建された患者のほうが速い会話速度を示した。それ以外の項目では, 再建皮弁間の差はみられなかった。しかし, いずれの項目においても再建患者自身による術後機能の主観評価は術前に比べ低下しているため術後の栄養指導, 誤嚥対策が重要と思われた。さらにC群に対して機能温存が可能な新しい治療法の開発が特に必要と考えられた。

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