日本消化器外科学会雑誌
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原著
食道癌に対する根治的化学放射線療法後のsalvage食道切除
的野 吾田中 寿明田中 優一永野 剛志西村 光平村田 一貴末吉 晋白水 和雄藤田 博正
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2010 年 43 巻 11 号 p. 1089-1097

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抄録

 目的:食道癌治療における化学放射線療法(chemoradiotherapy;以下,CRT)の増加に伴い,CRT後の遺残・再発に対するsalvage食道切除例が増加している.当科のsalvage食道切除の治療成績を検討し,治療適応を考察した.方法:1986~2008年に,50 Gy以上のCRT施行後の遺残・再発に対し食道切除を施行した18例を対象とした.結果:cStage I-III(nonT4)/cStage III(T4)-IVaのCRTの効果は,有効6例/7例,無効1例/4例で,CRT終了から手術までの期間は,中央値6か月/2か月だった.前者/後者の手術根治度は,治癒切除2例/4例,姑息切除5例/7例だった.前者の術後1年生存率は,14%で2年生存例はなかった.後者の術後1, 3, 5年生存率は,おのおの36%,18%,9%だった(p=0.5725).治癒切除例の術後1, 3, 5年生存率は,おのおの83%,33%,17%だったが,姑息切除例では,1年生存例はなかった(p=0.0005).CRT有効例の術後1, 3, 5年生存率は,おのおの39%,15%,7%だったが,無効例では,1年生存例はなかった(p=0.0106).手術合併症は,17例(94%)に認め,重篤な合併症は姑息切除例での発生が多かった.salvage食道切除例の予後は,CRTの効果と手術根治度が関与しており,CRT前の進行度は予後に関与なかった.考察:salvage食道切除はCRTが有効な症例の再発で,治癒切除可能例においてのみその手術の意義があると考えられた.

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