1例の早期食道類基底細胞癌を経験した. 術前生検では低分化型扁平上皮癌であった. 長径4.8cm大の表面粗造なO-Ipl型病変であり, 辺縁および表面の上部に扁平上皮を認めた. 病理組織学的には異形を有する基底細胞類似細胞が柵状あるいはリボン状に配列し, 一部では偽腺管構造を呈しながら, 粘膜下層までの深部方向への増生を示していた. 脈管内侵襲は陽性であった. またepidemlalgrowthfactor receptor陽性であった. 術後化学療法を併用するも, 縦隔内リンパ節再発および肝転移にて術後1年2か月目に死亡した. 食道類基底細胞癌は扁平上皮癌とは異なった発育形式を呈する悪性度のより高い腫瘍と考えられ, 今後の症例の蓄積による詳細な臨床, 病理像の検討が望まれる.