日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
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原著
閉塞性大腸癌に対するbridging to surgeryとしての大腸ステント留置の短期的な有用性の検討
中野 順隆寺島 秀夫檜山 和寛角 勇作古川 健一朗今村 史人神賀 正博廣島 良規間宮 孝堀口 尚
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2016 年 49 巻 9 号 p. 834-841

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抄録

 目的:本邦でも2012年に大腸閉塞用self-expandable metallic stent(以下,SEMSと略記)が保険適応となり,閉塞性大腸癌の緊急手術を回避するbridge to surgeryが普及しつつある.その短期的有用性を経肛門イレウス管と比較した.方法:2011年から2015年の期間で閉塞性大腸癌に対し手術が行われた36例を術前減圧処置法別にSEMS挿入の24例(以下,S群と略記)と経肛門イレウス管留置の12例(以下,I群と略記)の2群に分け比較検討した.結果:S群では,全例経口栄養摂取が可能となり,75%が退院して外来精査を受けており,I群に比べて体重減少率と腸管減圧効果において有意に良好な結果を示した.病理組織学的にステントによる機械的挫滅は粘膜下層までに留まり,脈管侵襲の程度に関して両群間で有意差はなかった.結語:SEMS挿入は脈管侵襲に悪影響を及ぼさずに良好な条件下の手術を可能にした.

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