2012 年 45 巻 2 号 p. 139-146
症例は63歳の男性で,両側足背部痛と血清ALP高値精査目的に当院内科と整形外科を紹介受診し精査するも原因不明で経過観察となっていた.2か月後に心窩部痛を主訴に消化器科を再診した.胸部X線検査でびまん性造骨性変化を認め,骨シンチでsuper bone scanを呈し,原発不明癌のびまん性骨髄転移の診断となった.原発巣発見のため前立腺精査を行ったが問題なく,続いて行った上部消化管内視鏡検査で胃癌が発見された.胃癌びまん性骨髄転移の診断で手術を施行した.総合所見はT1a(M)N3b H0 P0 M1(LYM,MAR)Stage IVであった.術後化学療法を施行し,長期に病勢は安定し外来通院が可能であったが,術後28か月で骨髄癌症の悪化により永眠した.早期胃癌の一部には高度の遠隔転移を生じる症例が存在することを念頭において慎重に経過観察を行うことが必要であると考える.