2008 年 41 巻 8 号 p. 1551-1556
はじめに: 幽門側胃切除術後にRoux-en-Y (以下, R-Y) 再建を選択した時に, 術後にRouxstasis syndrome (以下, RSS) の発症が問題となる. 方法: 1995年1月から2004年12月までの10年間に当院で胃癌に対して幽門側胃切除術後にR-Y再建法を施行した109症例を対象として, RSSに関して検討した. 結果: 109例中13例 (11.9%) にRSSが発症しており, 端側吻合では37例中7例 (18.9%) 端端吻合では72例中6例 (8.3%) と頻度が減少した. 有意差は認めなかった (p=0.1257). しかし, 重症例に限れば端端より端側が生じやすかった (p=0.0434). なお, 郭清度が増せば発症率も増加したが, 年齢, 性別, 出血量, 手術時間, 自律神経温存との関係は認めなかった. 考察: RSSの成因として残胃の機能的通過障害の存在が考えられた. RSS防止のためには吻合は端側より端端が有利と考えられた.