日本消化器外科学会雑誌
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進行胆嚢癌肉腫の1切除例
桜井 直樹山内 淳一郎渋間 久池田 栄一笹生 俊一
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2006 年 39 巻 6 号 p. 677-682

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抄録

症例は54歳の女性で, 食後の右上腹部痛を主訴に近医を受診し, 腹腔内腫瘤が触知され, 当院内科を紹介された. 術前の精査で横行結腸癌の胆嚢・十二指腸浸潤と診断され外科へ転科し, 手術を施行した. 肝門部を中心として胆嚢・横行結腸を巻き込んだ巨大な腫瘍がみられ, 一部十二指腸へ浸潤していた. 胆管には浸潤がみられなかったため, 右半結腸切除・胆嚢床切除 (胆管温存)・十二指腸部分切除術を施行した. 病理組織検査では, 低分化腺癌と異型の強い紡錘形の腫瘍細胞部が不規則に混在し, これらの間に移行像を認めた. 紡錘形細胞成分には軟骨への分化がみられ, 一部骨化形成もみられた. リンパ節転移はすべて腺癌像で,#12bだけでなく, 結腸領域の#222rまで転移を認めた. 免疫染色では, 軟骨形成部付近の紡錘形細胞に上皮性マーカーであるKeratin陽性部があり, 胆嚢原発のいわゆる癌肉腫であった.

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