日本消化器外科学会雑誌
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3D-CTによる肝静脈の分岐形態とその臨床応用-肝静脈再建の適応について
志澤 良一
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2000 年 33 巻 5 号 p. 572-578

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抄録

3D-CTを作製した40症例の肝静脈分岐形態を検討した. 左肝静脈はLV2 (S2をドレナージする左肝静脈の分枝), LV3, LV4に分類可能で, その描出率は100%, 100%, 27.5%であった. 同様に中肝静脈はMV4(100%), MV5(77.5%), MV8(92.5%) に, 右肝静脈はRV5(82.5%), RV6(97.5%), RV7(97.5%), RV8(100%) に, 右下肝静脈はIRV6(25%), IRV7(5%) に分類された. S5とS6のドレナージ形態は7種類が存在し, 右肝静脈を切除したS7+S8切除術で, 右肝静脈の再建が必要と診断される症例は33例82.5%, 不要と診断される症例は7例17.5%であった. 形態学的に必要と診断された1症例の右肝静脈根部クランプ後の右肝静脈末梢圧は30分後でも前値に戻らなかったが, 不必要と診断された2症例では15分後までに前値に戻った. 術前に3D-CTを行うことにより, 肝亜区域のドレナージの分岐の状態がわかり, 肝静脈再建の必要性を術前に推測することが可能であった.

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