日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
残胃吻合部癌における空腸間膜内リンパ節郭清の意義について
小坂 健夫上繁 宣雄菅谷 純一中野 泰治秋山 高儀冨田 冨士夫斎藤 人志喜多 一郎高島 茂樹
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 32 巻 4 号 p. 972-977

詳細
抄録

Billroth(以下, Bと略記)-II法再建後の吻合部に発生する残胃の癌では空腸間膜内りんぱ節 (以下, MJと略記)に転移がみられることがある. B-II法再建後の残胃の癌20例を対象とし, MJ郭清の意義について検討した.初回疾患は良性15例・悪性5例であった.その結果, MJでは30%,(10) では25%,(1)・(3)・(4)・(11) では15%, (2)・(9)・(15)・(16) では10%,(7)・(14) では5%に組織学的りんぱ節転移が陽性であった. したがって, n0が6例, n1-2が4例, n4以外のMJ 転移陽性例 (nMJ と略記) が5例, およびn4が5例であった. 5年生存率は, t1-2では100%であったが, t3-4では0%だった. また, n0では56%, nMJ では60%を示したが, n1-2およびn4では0%であった. MJ転移陽性の2例および転移陽性の1例に3年以上の生存を得た. 空腸浸潤をともなう残胃の癌においては空腸間膜の郭清を含め進展度に応じた手術術式の選択が重要である.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top