1996 年 29 巻 12 号 p. 2319-2323
重症敗血症では, エンドトキシンが様々なメディエータを介してその病態を形成している. 今回, 我々は重症敗血症に対して手術とエンドトキシン除去治療が有効であった2症例を経験したので報告する. 症例1は62歳の女性. 直腸穿孔による敗血症性ショックと3臓器障害を合併していた. 症例2は60歳の女性. 急性胆嚢炎, 急性閉塞性化膿性胆管炎による敗血症性ショックと6臓器障害を合併していた. これらの症例に対して術後2回にわたりエンドトキシン除去治療を行ったところ臓器障害の改善を認めた. また血中インターロイキン-6,-8値は低下し, 白血球数の正常化を認めた. 重症敗血症に対してエンドトキシン除去治療を行う時期および吸着治療の回数の決定には, 血中インターロイキン-6,-8値と末梢血中白血球数の変化が参考になると考えられた.