日本消化器外科学会雑誌
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胆管細胞癌中枢型と肝門部胆管癌の臨床病理学的比較検討
牧野 弘之園山 輝久山岸 久一岡 隆宏内藤 和世大森 吉弘弘中 武
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1995 年 28 巻 5 号 p. 1049-1054

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抄録

胆管細胞癌中枢型肝切除例10例と肝門部胆管癌肝切除例13例を比較検討した.腫瘍の肉眼型は, 胆管細胞癌10例中9例では肝内に明らかな腫瘤を形成し周囲の肝実質に浸潤性に発育していたのに対し, 肝門部胆管癌では腫瘤形成よりも胆管壁に沿う浸潤が主体であった.腫瘍の体積は, 胆管細胞癌では肝門部胆管癌に比較して有意に大きかった.胆管細胞癌では, 肝門部胆管癌に比較して大血管浸潤のほかに肝胆道の周囲臓器への浸潤を高率に認めた.胆管細胞癌でも12, 13, 8番へのリンパ節転移, ly, v, pn (+) を肝門部胆管癌と同じく高率に認めた.ew (+) は両者とも80%以上の高率であり, 主にly, v, pnの存在によった.hw (+) は肝門部胆管癌で有意に高率であった.肝門部胆管癌の5年生存率は62.5%と良好であったが, 胆管細胞癌では3年生存率17.9%と不良であった.両者は同一の規約で検討されるべき多くの類似点を有しているが, 進展様式, 予後などに違いが認められた.

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