日本消化器外科学会雑誌
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血管造影所見からみた残胃の癌のリンパ節転移経路
加藤 誠高橋 滋井川 理藤井 宏二泉 浩竹中 温徳田 一沢井 清司岡野 晋治谷口 弘毅高橋 俊雄
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1992 年 25 巻 4 号 p. 1000-1006

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抄録

術前に血管造影を行った残胃の癌20例を対象として残胃の癌のリンパ節転移経路を検討した.1) 初回手術時左胃動脈を温存した症例では, 残胃の血行動態は初回手術前の胃上部の血行動態とほとんど同じで, 左胃動脈が血液供給の主役であり, 残胃の癌も左胃動脈が栄養動脈の主役であった.これに対し初回手術時左胃動脈が切離された症例では, 残胃の血流は後胃動脈, 左胃大網動脈および左下横隔動脈などにより保たれており, 残胃の癌もこれらの動脈が栄養動脈になっていた.2) 初回手術時左胃動脈を温存した症例では, 左胃動脈に沿って逆行し, 左胃動脈幹リンパ節に至る経路が主流であると考えられた.3) 初回手術時左胃動脈を切離した症例では脾動脈経路のリンバ流が重要である.4) 左下横隔動脈が栄養動脈の場合に縦隔内へのリンパ流, 空腸動脈が栄養動脈の場合に腸間膜動脈根部へのリンパ流も重要である.

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