日本消化器外科学会雑誌
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残胃のリンパ流に関する実験的検討
児玉 一成
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1989 年 22 巻 6 号 p. 1172-1181

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抄録

家兎VX 2腫瘍を耳介に移植し,腫瘍によるリンパ流の変化を検討するとともに,家兎残胃癌モデルをB-I 6例,B-II 7例作成し,左胃動脈結紮切離の有無,腫瘍の局在,術式により各リンパ経路の出現率を微粒子活性炭を用い比較検討した. その結果,腫瘍により耳介リンパ管に欝滞,閉塞がみられるとともに逆流側方向への迂回,偏向など正常ではないリンパの流れが出現した. 残胃リンパ流のうち吻合部経路は7例に,上行経路は4例に,癒着隣接臓器への経路は4例に認められ,これらはいずれも左胃動脈切離例で出現率が高く,腫瘍が噴門側に存在する例で上行経路の出現率が高い傾向にあった. 術式別では吻合部経路がB-IIで出現しやすい傾向にあった.

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