2013 年 7 巻 3 号 p. 145-155
【はじめに】血管撮影装置を用いた脳血液量(cerebral blood volume;CBV)計測(Neuro-parenchymal blood volume;Neuro PBV)のための撮影方法として,検査に必要な造影剤量を減じる目的で,大動脈弁近傍に留置した4Fr診断用カテーテルから50%希釈造影剤を投与する方法(aortic arch injection法;AA法)で施行した際の検査データを解析し,その妥当性や問題点について検討した.【対象・方法】100症例,117検査を対象に,テクニカルエラーの形態および造影剤使用量を検討し,さらに正常灌流症例において得られたCBV値を検討した.【結果】検査に伴う合併症はなく,AA法でも良好な画像が得られたが,6例でテクニカルエラーが経験された.使用した造影剤量は平均46.0±4.0 mLであった.正常灌流症例でのNeuro PBV-CBV値の半球間の比較では左前および中大脳動脈領域で低値となったが,後大脳動脈および基底核領域では左右差を認めなかった.【結論】現状では検討課題も残されているが,AA法で行う50%希釈造影剤を用いたNeuro PBVは,使用する造影剤量を減じることができ,患者管理に有用な情報が得られる可能性がある.