2017 年 57 巻 11 号 p. 723-728
症例は20歳女性.11歳時に急性散在性脳脊髄炎を発症し,その後,再発を繰り返した.17歳時には片側大脳皮質にFLAIR高信号を伴う痙攣発作で入院.18歳時に血清抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質(myelin oligodendrocyte glycoprotein; MOG)抗体陽性と判明した.今回,多相性散在性脳脊髄炎(multiphasic disseminated encephalomyelitis; MDEM)の診断で当科に入院した.抗MOG抗体陽性例でMDEMがみられることは以前から知られているが,近年,痙攣を伴う片側大脳皮質脳炎を来すことが報告された.本症例のように両方の病態を呈した症例の報告はなく,抗MOG抗体の関連する自己免疫疾患の病態を考える上で興味深い.