2009 年 49 巻 1 号 p. 37-42
51歳の男性例を報告した.5年前から歩行失調,構音障害が緩徐に増悪し独歩困難となった.頭部MRI,SPECT-eZISにおいて小脳萎縮,血流低下所見は明らかではなかった.しかし,voxel-based morphometry,fineSRTでは,小脳皮質萎縮,血流低下所見をみとめ,抗グリアジン抗体,抗SS-A/Ro抗体が陽性であり,自己免疫性小脳失調症と診断した.大量免疫グロブリン療法が著効し,独歩可能となった.進行性小脳失調症の患者では,voxel-based morphometry,fineSRTなどの画像検査で早期に小脳萎縮を診断し,抗グリアジン抗体,抗GAD抗体,抗甲状腺抗体などが陽性であれば,自己免疫性小脳失調症である可能性があり,IVIgをふくめた免疫治療を考慮すべきである.