口腔病学会雑誌
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ウ蝕象牙質2層のコラゲン線維の性状
第1報組織化学的観察
大串 貫太郎
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1973 年 40 巻 2 号 p. 65-74

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抄録

人の新鮮抜去歯に作った人工軟化象牙質と, 天然ウ蝕を有する抜去歯の軟化象牙質に塩基性フクシン・プロピレングリコール溶液による染色を施し, ついで同じ, 場所にMallory-Azan染色を施して両法の染色域を比較検討した結果, 次のような知見を得た。
1.人工軟化象牙質および天然ウ蝕象牙質において, フクシン染色域とMallory-Azan染色域はよく一致一していた。
2.人工軟化象牙質においては, フクシン染色により, 第1脱灰層は濃染し, 第2脱灰層は淡くピンク色に染まり, 健全象牙質は全く染まらず, Mallory-Azan染色では各層はそれぞれ赤色, オレンジ色, 青色に染まった。
3.天然ウ蝕象牙質においては, フクシン染色により浅層部 (第1脱灰層) は濃染し, 深層部 (第2脱灰層) と正常象牙質は全く染まらず, Mallory-Azan染色では第1脱灰層は赤色に, その他は青色に染まった。
4.天然ウ蝕の第1脱灰層と第2脱灰層とは自然着色によっては判別できなかったが, フクシン染色によって明瞭に染別された。

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