栄養学雑誌
Online ISSN : 1883-7921
Print ISSN : 0021-5147
ISSN-L : 0021-5147
血清および肝コレステロール値におよぼすクロレラの影響
奥田 正男長谷川 節園田 真人岡部 富子田中 幸男
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 33 巻 1 号 p. 3-8

詳細
抄録

dd系の雄マウスを2%のChoを添加した高Cho食で7日間飼育した場合, 肝のCho値, 中性脂肪値ならびに総脂質値が著しく上昇した。一方, 10%のクロレラ粉末添加飼料で飼育したマウスに高Cho食を与えた場合には, その肝中のCho値, 中性脂肪値ならびに総脂質値の上昇は認められず, それぞれ対照群に近い値を示した。また血清Cho値も同様に, クロレラ粉末添加によって抑制される傾向がうかがわれた。以上のことから, クロレラがマウスの肝での脂質または血清中のCho値を低下させることがわかった。
ヒトの場合においても, 脂質制限を行なわずに, 普通食を自由にとらせながら, クロレラを1日20錠 (5g), 3カ月間投与した結果, 血清Cho値の低下を認めた。とくに, 入院患者で, 5カ月間の平均値が200~250mg/dlの範囲にある比較的軽度の高血清Cho値を示す患者では著明で, クロレラ投与の結果, 血清Cho値は, ほぼ正常域にまで低下した。250mg/dl以上という高度の血清Cho値を示す患者では, 低下の傾向は認められたものの, 3カ月投与の期間内では, 正常域までの低下は起こらなかった。

著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本栄養改善学会
前の記事 次の記事
feedback
Top