整形外科と災害外科
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ビスフォスホネート製剤長期投与中に発症した両側非定型尺骨近位骨幹部骨折の1例
柴原 啓吾中原 寛之齊藤 太一糸川 高史入江 努田中 哲也青野 誠
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2019 年 68 巻 4 号 p. 648-652

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抄録

ビスフォスホネート製剤(以下BP製剤)の長期投与中に発症した両側非定型尺骨近位骨幹部骨折の1例を経験したので報告する.症例は80歳女性,薬缶を持ち上げたときに右前腕痛を自覚した.X線で右尺骨近位骨幹部単純横骨折を認めた.12年のBP製剤使用歴,軽微な受傷機転,骨折型から右非定型尺骨近位骨幹部骨折の診断し,アレンドロン酸投与中止,プレートによる骨接合術を行った.術後3ヶ月後にスクリュー折損と骨折部の転位を認めたため再骨接合術を行った.2回目手術から術後6ヶ月で骨癒合を確認し術後1年で抜釘した.しかし早期再骨折をきたし再々骨接合術を施行し術後4ヶ月で骨癒合した.その後,特に誘引なく左前腕痛を自覚,非定型尺骨近位骨幹部骨折の診断でプレートによる骨接合術を施行した.非定型大腿骨骨折の報告はあるが,非定型尺骨骨折の報告は稀である.非定型骨折の骨癒合は遷延する傾向にあるため,骨接合術後は慎重に経過観察を行うべきと考えられた.

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© 2019 西日本整形・災害外科学会
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