日本環境感染学会誌
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原著論文
薬剤師に対する手指衛生の手技に関する教育について—スクラブ法とラビング法の比較検討—
武藤 浩司樋口 多恵子三星 知小林 謙一継田 雅美大久保 耕嗣
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2011 年 26 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

  新潟県内の病院薬剤師を対象に手指衛生の講習と,蛍光剤を用いた手洗い実習を行った.その後にアンケート調査を実施した.手指衛生の講習受講後に蛍光クリームを塗布し,石けんと流水での手洗い前後にブラックライト下で観察,洗い残し部位を記録した.次に洗い残し部位を十分に洗浄した後,蛍光ローションを用いて擦式消毒薬を擦り込む要領で塗布し,同様に塗り残し部位を記録した.洗い残しは,塗り残しに比較して高く,手背部の指先が多く約60%あった.一方,塗り残した部位は,手掌部では掌が多く約10%,手背部では親指や指のシワ部分が多く約20%であった.石けんと流水,擦式手指消毒の手技間で洗い残し,塗り残し部位に差異が確認された.アンケート調査では,手指衛生の不十分な箇所を確認出来たと回答があった.実習を取り入れた講習会は初めてであり,日常手洗いや擦式手指消毒を行う際に注意を払うなど意識が向上したと示唆された.新潟県薬剤師のための感染制御セミナーでは,手指衛生をはじめ感染制御領域の講習会を継続して行っていき,臨床現場で活躍できる薬剤師の育成に努めていきたい.

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© 2011 一般社団法人 日本環境感染学会
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