日本環境感染学会誌
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報告
広域抗菌薬使用への使用調査制による介入が緑膿菌の抗菌薬感受性に及ぼす効果
添田 博金子 亜希子犬伏 厚夫明石 貴雄千葉 勝己佐藤 久美草間 由美子中村 造松永 直久腰原 公人松本 哲哉
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2010 年 25 巻 3 号 p. 158-162

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抄録

  当院では,2007年5月より広域スペクトラムを有する抗菌薬を対象として使用調査制による介入を開始した.今回の検討においては,2007年4月から2009年3月までの2年間を半年ごとの4期に区分し,期間ごとにカルバペネム系抗菌薬およびキノロン系抗菌薬の使用動向ならびに緑膿菌の耐性化率を比較し,使用調査制による効果を検証した.その結果,緑膿菌のIPM/CSに対する耐性化率は29%から21%へと低下し,CPFXに対する耐性化率も20%から15%へと低下した.抗菌薬の使用動向に関しては,カルバペネム系抗菌薬のAntimicrobial use density (AUD)の低下はわずかであったが,平均投与日数は7日から6日に短縮および投与件数は110件から86件に減少がみられた.また,8日以上使用された長期使用率は32%から24%へと減少した.一方,キノロン系抗菌薬に関しては,ほとんど変動がみられなかった.以上より,広域抗菌薬使用に対する使用調査制による介入は,カルバペネム系抗菌薬の使用動向を変化させることで使用量を減少させ,緑膿菌の抗菌薬に対する耐性化を抑制することが示唆された.

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© 2010 一般社団法人 日本環境感染学会
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