日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
肝嚢胞から長期間経過観察された胆管嚢胞腺癌の1例
福田 三郎平田 文宏大石 幸一先本 秀人江藤 高陽西田 俊博
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 75 巻 2 号 p. 532-538

詳細
抄録

症例は69歳,男性.B型慢性肝炎に対して,腹部エコーならびにCTで定期的にフォローされていた.2003年12月の腹部CTで,肝S4に嚢胞性病変を認めた.2005年11月,肝嚢胞は増大傾向を認めた.2006年3月,嚢胞内部に充実性成分の出現を認め,肝内胆管の拡張も認めた.2007年1月,嚢胞内部の充実性成分はさらに増大し,肝内胆管拡張の増悪を認めた.充実性成分は造影効果を認め,肝内胆管の拡張を伴うことから胆管嚢胞腺癌が強く疑われ,肝左葉切除術を施行した.病理組織学的検査にて嚢胞内に腺腫成分と腺癌成分の混在を認め,胆管嚢胞腺癌と診断された.卵巣様間質は認めなかった.肝嚢胞性病変から胆管嚢胞腺癌への変化が画像で追えた珍しい症例と考えられた.

著者関連情報
© 2014 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top