日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
急性虫垂炎術後に診断された小児虫垂原発神経内分泌腫瘍の2例
牧田 智平松 聖史狩野 陽子
著者情報
キーワード: 神経内分泌腫瘍, 小児, 虫垂
ジャーナル フリー

2017 年 78 巻 1 号 p. 71-77

詳細
抄録

今回われわれは,小児で急性虫垂炎術後に虫垂原発神経内分泌腫瘍と診断した2例を経験したので報告する.症例1:12歳,女児.心窩部痛を主訴に当院を受診した.腹部超音波検査で虫垂腫大を認め急性虫垂炎と診断した.症例2:14歳,女児.右下腹部痛を主訴に当院を受診した.腹部造影CT検査で糞石を伴う虫垂腫大を認め急性虫垂炎と診断した.いずれの症例も腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.肉眼所見では腫瘤性病変を認めなかったが,病理組織学的診断で粘膜下層から固有筋層にかけて腫瘍を認め,chromogranin A 陽性,synaptophysin 陽性であり,虫垂原発神経内分泌腫瘍 Grade 1と診断した.いずれの症例も追加切除は施行せず外来経過観察し無再発生存している.本腫瘍は術前/術中に診断することは困難である.また,全年齢に発症する可能性があり,切除した虫垂の病理組織検査を全例施行する必要があると考えられた.

著者関連情報
© 2017 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top