日本臨床外科学会雑誌
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症例
幽門狭窄により食道破裂をきたした胃癌の1例
赤羽 慎太郎福田 三郎藤崎 成至先本 秀人江藤 高陽西田 俊博
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キーワード: 食道破裂, 胃癌, 幽門狭窄
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2014 年 75 巻 9 号 p. 2467-2471

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抄録

症例は73歳,女性.嘔吐を主訴に当院初診,午後に嘔吐と急激な心窩部痛をきたし,救急外来を受診した.胸腹部CTで下部食道破裂が疑われ,胃前庭部にmassを認めた.食道造影で造影剤の左胸腔内への流出を確認した.以上の所見から,(1)下部食道破裂の胸腔内穿破型,(2)胃癌に伴う幽門狭窄の疑いと診断し,発症4時間で緊急手術を施行した.術中所見で下部食道左側に2.5cm大の全層裂創を認め,単純縫合閉鎖・幽門側胃切除を行った.病理所見は,胃癌pT4aN3aM0 pStage IIICであった.左膿胸に対し第6病日に胸腔鏡下膿胸掻爬術を施行し,術後経過は良好で第56病日に軽快退院した.現在術後8カ月経過しているが再発の徴候は認めていない.胃癌の幽門狭窄病変が原因で食道破裂をきたした症例は,本邦で自験例を含めて8例あり,比較的稀な症例と考えられた.嘔吐を伴う幽門狭窄病変に対しては早期の治療が必要と考えられた.

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© 2014 日本臨床外科学会
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