日本臨床外科学会雑誌
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症例
Partington術後の膵管空腸吻合部に発生した巨大な膵管内乳頭粘液腺癌の1例
長久 吉雄稲本 道松下 貴和五味 隆和田 康雄三村 六郎
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キーワード: 慢性膵炎, Partington, IPMC
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2013 年 74 巻 8 号 p. 2276-2279

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抄録

今回われわれは,膵管空腸側々吻合術(Partington手術)後25年目に吻合部に巨大な膵管内乳頭粘液腺癌(IPMC)が発生した症例を経験したので報告する.症例は76歳の男性.25年前に慢性膵炎に対してPartington手術を受けた既往がある.発熱と上腹部痛を主訴に救急搬送された.造影CTでは膵体部に乳頭状の充実性成分を伴った嚢胞性腫瘍が存在し,吻合空腸内へ進展している所見があり,感染の合併も示唆された.膵管内乳頭腫瘍が空腸に浸潤し,拡張と感染を続発したものと診断し手術を実施した.膵体部の巨大な腫瘍が膵管と側々吻合された空腸へと浸潤しており,多量の粘液が吻合空腸に貯留していた.この空腸を含めた膵体尾部切除を実施し,病理検査にてIPMCと診断された.Partington手術後の膵管空腸吻合部にIPMCが発生した報告はなく,本邦初の症例と考えられた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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