日本臨床外科学会雑誌
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症例
G-CSF産生胃腺扁平上皮癌の1例
工藤 泰崇十倉 知久西川 晋右高橋 賢一森田 隆幸
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2012 年 73 巻 11 号 p. 2847-2851

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抄録

症例は71歳,男性.食欲低下と胸苦を主訴に近医を受診し,上部消化管内視鏡検査で胃前庭部に3型腫瘍を認めたため当院へ紹介となった.白血球21,600/μl,血清G-CSF 277pg/mlと上昇しており,生検では扁平上皮癌であった.腹部造影CTで肝右葉に6cm大の肝転移を認めた.出血制御と経口摂取の維持を目的として,幽門側胃切除術(D1郭清)と胆嚢摘出術を施行した.病理検査では腺扁平上皮癌であり,免疫染色で抗G-CSF抗体陽性であったため,G-CSF産生胃腺扁平上皮癌と診断した.術後経過は良好であったが,患者の希望により化学療法は施行せず,術後7週間で死亡した.G-CSF産生胃癌は比較的まれな疾患であり,文献的考察を加え報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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