日本臨床外科学会雑誌
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症例
骨髄異形成症候群を伴った大動脈弁狭窄症の1例
小此木 範之茂原 淳高橋 徹横濱 章彦野島 美久竹吉 泉
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2010 年 71 巻 11 号 p. 2825-2829

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抄録

骨髄異形成症候群を合併した開心術は出血や感染症のリスクが高く,また周術期治療の明確なガイドラインはない.われわれは周術期の蛋白同化ステロイド,活性型ビタミンD3,ビタミンK2の投与による薬物療法と,輸血による補助療法により,骨髄異形成症候群を合併した大動脈弁狭窄症に対し,大動脈弁置換術を安全に施行できた1例を経験した.
症例は73歳,女性.骨髄異形成症候群(不応性貧血)の経過観察中に,胸痛の精査で大動脈-左室間圧較差140mmHg,大動脈弁口面積0.67cm2の重症大動脈弁狭窄症と診断された.術前から薬物療法を行い汎血球減少の改善を図った.周術期に血小板数が3.0×104/μl,好中球数が2,000/μlを維持するよう補助療法を行い,大動脈弁置換術を施行した.周術期に出血性の合併症や感染症は認めず,術後経過は良好であった.

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© 2010 日本臨床外科学会
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