日本臨床外科学会雑誌
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症例
閉塞性膵炎を併発した体部膵石症の1例
浅沼 史樹中村 理恵子金田 宗久首村 智久大作 昌義山田 好則
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2009 年 70 巻 8 号 p. 2463-2469

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抄録

症例は54歳,男性.食後の腹痛,微熱を主訴として入院した.血液検査では,CRP,血清および尿中アミラーゼ,エラスターゼ1が高値であった.腹部CT検査で膵体部に1.5cm大の石灰化陰影を認め,周囲脂肪織の濃度上昇と液体貯留を認めた.MRI検査では膵体尾部の膵管が拡張しており,膵石の嵌頓による閉塞性膵炎が強く疑われた.保存的治療にて血液所見が改善せず,発熱と疼痛の増強等膵炎の再燃を認めたため,外科的治療を選択し,膵体尾部切除,膵管内結石除去,腹腔内洗浄・ドレナージ術を施行した.手術後は血清アミラーゼ値は正常化し,合併症なく軽快退院した.膵石症は,近年,体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や内視鏡的治療が行われるようになり,まずは保存的治療を試みるべきであるが,治療に抵抗性の場合や,結石の径が大きく内視鏡的治療や破砕治療に適さない場合には,時期を失せず外科的治療を検討すべきと考えられた.

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© 2009 日本臨床外科学会
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