日本臨床外科学会雑誌
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症例
3D-CTにより経過観察したsegmental arterial mediolysisに起因する腹部動脈瘤破裂の1例
仲田 和彦河合 庸仁佐久間 康平奥村 徳夫吉田 滋阪井 満森 良雄
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2009 年 70 巻 7 号 p. 1953-1957

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抄録

症例は40歳,男性.腹痛,下痢にて受診,同日腹部CTにて上腹部に血腫を認めた.3D-CTおよび血管造影検査にて,右腎動脈瘤および中結腸動脈,右結腸動脈の不整な拡張を認めた.血管外漏出の所見ならびに血腫の増大もなく,右腎動脈のみcoiling施行.保存的に経過観察していたが,5日後排便時の急激な腹痛にて再発症した.緊急CTおよび血管造影検査施行.腹腔右側の血腫形成,血管外漏出所見も認め,緊急開腹術施行した.このときの出血源は右結腸動脈瘤破綻であり,前回出血源であった中結腸動脈瘤もふくめ右半結腸切除施行した.病理組織学的には中膜の壊死を中心としたsegmental arterial mediolysis(SAM)の診断であった.第27病日退院.退院時のCTで,肝動脈瘤が出現していたため,外来にて慎重にfollow upしていたところ,増大傾向はなく術後9カ月後の3D-CTでは縮小,術後1年後,動脈瘤は消失していた.新たな動脈瘤形成もなく,ひきつづき経過観察中である.

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© 2009 日本臨床外科学会
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