日本臨床外科学会雑誌
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症例
長期生存が得られた同時性肝転移を伴う穿孔性胃癌の1例
山口 龍志郎稲川 智寺島 秀夫石川 詔雄佐々木 亮孝大河内 信弘
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2009 年 70 巻 5 号 p. 1376-1382

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抄録

胃癌肝転移症例の予後は極めて不良である.今回,同時性肝転移を伴う胃癌穿孔症例に対し,原発巣,肝転移巣の同時切除後,補助化学療法を追加し長期生存が得られた1例を経験したので報告する.症例は56歳,男性.心窩部痛にて当院受診.腹部CT検査にてfree airと胃壁の肥厚を認め,胃癌穿孔による腹膜炎が疑われ緊急入院となった.保存的治療にて炎症消退後,上部消化管内視鏡検査にて胃体中部小弯に存在する胃癌と診断された.手術は胃全摘,2群郭清および胆嚢摘出術を施行した.術中,肝S3に転移巣を認めたため,肝部分切除を追加し,転移巣を切除した.最終診断では胃癌M領域Type2 T3 N2 H1 P0 M0 fStage IVと診断された.根治度Bが得られたため,S-1による術後補助化学療法を2年間施行した.術後5年が経過したが再発はなく外来通院中である.

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© 2009 日本臨床外科学会
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