日本臨床外科学会雑誌
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原著
胃癌穿孔症例の検討
柳澤 真司土屋 俊一海保 隆外川 明新村 兼康岡本 亮
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キーワード: 胃癌, 穿孔
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2009 年 70 巻 5 号 p. 1271-1275

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抄録

当科において過去19年間に経験した胃癌穿孔症例は24例でありうち23例に手術を施行した.同時期の胃癌手術症例の1.5%,胃穿孔の24.0%をしめる.20例が緊急手術例でありうち10例(50%)を術前に胃癌と診断したが,内7例は穿孔前に胃癌と診断されていた.手術23例中18例に切除術を施行しそのうち2例は2期的切除であった.Stage III:6,IV:7,根治度A:2,B:9,C:12と高度進行例が多い.根治度A症例は長期生存したが,Bには長期生存がなかった.根治度Cの予後は不良であり,手術関連死6例(26.1%)中5例が根治度Cであった.胃癌と確診され根治性のある症例は1期的に根治切除を考えるが穿孔時の診断は不確実でありその場合に穿孔部閉鎖を行い胃癌であれば2期的に根治術を行う方針は有用と考えられる.高度進行例で全身状態不良な症例も多くその場合は最低限の侵襲に留めるべきである.

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© 2009 日本臨床外科学会
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