2007 年 68 巻 5 号 p. 1082-1087
乳癌術後リンパ浮腫の発症率や予測因子について検討した. 2005年11月から2006年8月の間に当院乳腺外来に通院した乳癌術後症例348例の上腕・前腕・手関節の周囲径の差を測定した. リンパ浮腫は他覚的および周囲径の測定の2方法にて評価した. リンパ浮腫は周囲径が1.0cm以上左右差があるときと定義した. 348例中88例にリンパ浮腫を生じていた. 5年発症率は31.9%だった. 治療因子・腫瘍側因子・宿主因子について検討した. リンパ浮腫予測因子として有意だったのは, リンパ郭清の程度, 領域リンパ節への術後照射, T因子, 腋窩リンパ節転移の有無, 転移リンパ節の個数, 年齢, BMIだった. 多変量解析では, BMI, 腋窩リンパ節転移の有無, 領域リンパ節への術後照射が有意なリンパ浮腫予測因子だった.