日本大腸肛門病学会雑誌
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臨床研究
虫垂原発カルチノイド症例の検討
柴田 佳久
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キーワード: カルチノイド, 虫垂, 治療
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2008 年 61 巻 1 号 p. 22-26

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抄録

消化管に発生するカルチノイド腫瘍は本邦では比較的まれである.当院にて経験した虫垂カルチノイド症例を臨床病理学的に検討した.1996年からの10年間で消化管カルチノイドは74例あり,胃12例·小腸4例·直腸52例·虫垂6例であった.虫垂カルチノイド症例を対象に臨床所見と転帰·病理学的検討を行った.全例女性で平均40.3歳であった.診断契機は虫垂炎手術5例,他の手術時発見1例であった.虫垂切除術のみ3例,追加切除など3例.悪性所見としての深達度はss 5例mp 1例で,脈管侵襲陽性1例,MIB-indexは全例1%以下であった.追加切除では腫瘍の遺残なくリンパ節転移もなかった.全例無再発生存中である.消化管カルチノイドの中で虫垂発生は8%であった.発症は虫垂炎が多く,悪性症例は少なく虫垂切除のみでよいと考えられ,その予後は良好である.

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© 2008 日本大腸肛門病学会

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