日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
骨粗鬆症患者におけるQOL尺度の信頼性, 妥当性の検討
EOQOLによる高齢骨粗鬆症QOL評価
堀内 敏行小林 義雄細井 孝之石橋 英明山本 精三矢富 直美
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2005 年 42 巻 2 号 p. 229-234

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抄録

50歳以上での骨粗鬆症患者のQOL評価表は存在しても, 65歳以上での高齢者に限った骨粗鬆症QOL評価表は存在しない. 骨粗鬆症患者におけるQOL尺度を作成し, 脊椎圧迫骨折の急性期および慢性期において患者に施行しその信頼性, 妥当性の検討を行った. 方法は, 骨粗鬆症患者のQOLを評価するため, JOQOL評価票とは異なる高齢者用のQOL評価表を作成した (EOQOL). EOQOLの作成方法は,骨折患者のフォーカスグループからキーワードを抽出し, 痛み, 動作の制限, 気分や不安などの心理的影響, 生活行動の制約, 生きがいへの影響の各側面を評価する項目で構成した. 急性期の骨粗鬆症患者30名と慢性期の患者101名に対して面接調査を行い信頼性, 妥当性について解析した. 結果は, 各下位尺度の信頼性を示す Crohnbach のα係数は, いずれの下位尺度についてもα係数の値が0.7以上の十分な信頼性が確認された. また, 妥当性検討の一環として, 急性期の患者と慢性期の患者の各得点の平均値を比較をしたところ, 感情的な気分や不安については2群の間には有意な差異は見られなかったが, 痛み, 動作の制限, 移動の制限, 生理的行動の制限, 義務的行動の制限, 余暇的行動の制限, 生活の満足度の各下位尺度において, 両群に統計的有意差が見られた (p<0.05). これらの結果は, 2群の患者の医療場面や生活場面における行動の差異と合致するものであり, 我々が作成した高齢者骨粗鬆症患者のQOLの評価が妥当性を持っていることが示された. 今後この高齢者骨粗鬆症に特異的QOL評価表を用いて骨折数, 骨折部位とQOLの関係の検討, また治療効果の縦断調査にも応用したい.

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