日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
心房細動f波波高に関する臨床的検討
年齢との関係について
新 博次藤原 忠通斉藤 寛和早川 弘一
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1987 年 24 巻 1 号 p. 11-15

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抄録

慢性固定性心房細動206例 (男131例, 女75例), 年齢34~88歳を, 基礎疾患により僧帽弁狭窄症37例 (MS群), 他の弁膜疾患および心房中隔欠損症の9例 (NMS群), 高血圧性心疾患および冠動脈疾患59例 (HHD, CAD群), 明らかな心疾患の認められない101例 (WHD群) の4群に分類し, 標準肢誘導 (第II誘導) と胸部誘導 (V1) における最大f波波高を測定した. V1における最大f波波高はMS群では0.20±0.11mV (mean±SD), NMS群では0.20±0.14mV, HHD, CAD群では0.14±0.08mV, WHD群では0.13±0.07mVであり, 従来の報告と同様前二者でより高い傾向を示した.
年齢との関係はMS群は第II誘導でr=-0.38 (p<0.05), と有意の負の相関を認めた. NMS群は症例数が少なく明らかな関係は認められなかったが, HHD, CAD群, WHD群はそれぞれ第II誘導でr=-0.28(p<0.05), r=-0.30(p<0.01), V1でそれぞれr=-0.57(p<0.001), r=-0.33(p<0.01)と有意の負の相関が認められた. 以上の所見は心房細動のf波波高に加齢がその規定因子の一つとして関与していることを示すものである.

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