日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
Remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema (RS3PE) 症候群の7例
高橋 宏三藤永 洋小林 元夫内藤 毅郎飯田 博行青木 周一
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2002 年 39 巻 6 号 p. 643-647

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抄録

高齢者においてリウマトイド因子陰性の多発性関節炎を診たときに, 考えるべき疾患はいくつかあるが remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema (RS3PE) 症候群もその1つである. これまで7症例経験した. 男2例, 女5例. 年齢は平均75.9歳 (67~82歳) と高齢で, 比較的急速な発症, 多関節炎, 両側の手背足背の pitting edema, リウマトイド因子陰性, 抗核抗体陰性ということが共通しており, McCarty らの提唱するRS3PE症候群とよく一致した. ただし本疾患は性別では男に多いとされているので, この点では異なっていた. 発熱を7例中4例に認め, 初診時CRP 0.9~27.8mg/dl, 赤沈70~140mm/hrであり, 全例が変形性関節症を伴なっていた. いずれも経過良好で, 有効治療はプレドニゾロン20mgが3例, 同10mgが2例, 非ステロイド性抗炎症薬が1例, 漢方薬が1例であった. 本邦での報告例は少ないが, まれな疾患ではないと思われる. 特に高齢者医療においてはこの疾患を知っていることが大切であり, 日常診療における注意深い観察が必要である.

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