肺転移を切除した稀な胃癌5例について, 原発巣と転移巣を臨床病理学的に比較するとともに免疫組織化学的に糖鎖抗原 (SLX, CA19-9) の発現を検討した.再発転移形式で分類すると, 肺の転移巣再切除が可能と思われたのは3例であった.これらは肺を主たる標的臓器として転移巣を形成する傾向があったと考えられ, 共通点は転移巣の病理組織が分化型 (腸型) であり, CA19-9が陽性を示したことであった.このうち1例に5年生存が得られた.この1例は原発巣よりも転移巣でSLXの減弱がみられた.胃癌の結節状肺転移の形成や予後に糖鎖抗原が関与している可能性が示唆された.