症例は71歳,男性.S状結腸癌の術前検査で膵体部腫瘍を指摘された.US上膵体部に2cm大の低エコー結節があり,これと連続する尾側膵全体が低エコーを示した.脾静脈から門脈本幹にかけて腫瘍栓があり,側副血行の発達を認めた.CTでは膵体尾部全体を占める増強効果の乏しい腫瘍として,MRIではT1wで低信号,T2wで高信号,DWIでも高信号を呈した.PET-CTで腫瘍に一致しSUV max 8.5の異常集積を認めた.膵管洗浄細胞診でclass IIIbが得られ,尾側膵切除・門脈合併切除(腫瘍栓除去)を行った.膵管内発育の著明な腫瘍で粘液産生に乏しく,組織学的に核異型が強く好酸性の細胞が癒合腺管状,乳頭状に増生していた.免疫組織化学的にはCK7(+),CK20(focalに+),MUC1(+),MUC2(-),MUC5AC(-),MUC6(focalに+)でIntraductal tubulopapillary neoplasm浸潤癌と判定した.