膵臓
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特集:自己免疫性膵炎 最前線
自己免疫性膵炎臨床診断基準2006の解説―4.病理診断―
高瀬 優須田 耕一
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2007 年 22 巻 6 号 p. 646-650

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抄録

「自己免疫性膵炎autoimmune pancreatitis(AIP)臨床診断基準2006」の特徴は「小さな材料·生検」での診断,routine以外の特殊染色を用いないことである.本邦のAIPの組織像はlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitisに一致し,その特徴は膵管周囲のリンパ球·IgG4陽性形質細胞の浸潤,小葉間/内の線維化(storiform fibrosis),閉塞性静脈炎である.
Mayo clinicの診断基準では「小さな材料·生検」が前提とは思えず,またIgG4陽性形質細胞が必須で,本邦の基準と異なる.韓国と本邦の診断基準は類似するが,生検方法が異なる.生検上の課題は,全体を反映しdiagnosticに足る検体の採取である.IgG4陽性形質細胞は,「storiform fibrosis内に認める」ことがdiagnosticであり,生検でも病変部が的確に採取されていれば診断可能である.

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© 2007 日本膵臓学会
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