膵臓
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特別寄稿
自己免疫性膵炎の治療
―厚生労働省難治性疾患克服研究事業 難治性膵疾患調査研究班の自己免疫性膵炎の治療に関するコンセンサス―
西森 功岡崎 和一須田 耕一川 茂幸神澤 輝実田中 滋城大原 弘隆白鳥 敬子成瀬 達伊藤 鉄英小泉 勝大槻 眞
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2005 年 20 巻 4 号 p. 343-348

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抄録

全国調査により集計された調査票に基づき, 自己免疫性膵炎167症例の治療内容と寛解・再燃について検討した. 得られた解析結果を踏まえ, 厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班「自己免疫性膵炎の病態解明と診断基準の指針に関する研究」ワーキンググループにより, 自己免疫性膵炎の治療についてのコンセンサスを集約した.
自己免疫性膵炎の治療についてのコンセンサス
1) 経口プレドニゾロンの投与が治療の基本である.
2) 黄疸例では胆道ドレナージを考慮する.
3) 糖尿病合併例では血糖のコントロールを行う.
4) 黄疸, 胆管狭窄, 腹痛等の臨床徴候の軽快しない症例に対しては, 経口プレドニゾロンの投与を考慮する. ただし, 自己免疫性膵炎の診断がつかない時点で, 安易にステロイド治療を行ってはならない. また, ステロイド治療の経過から膵腫瘍が否定されない場合, 膵癌を念頭においた再評価を行う.
5) 経口プレドニゾロン30~40mg/日から投与を開始する.
6) プレドニゾロン初期量を2~4週間投与した後, 臨床徴候の改善をみながら, 2~3カ月を目安に維持量まで漸減する.
7) 寛解後は原則的に経口プレドニゾロンの維持療法 (目安として2.5~5mg/日) を行う.
8) 維持療法の期間については今後の検討課題であるが, 臨床徴候の改善をみて, 一定期間 (目安として6~12カ月間) 投与後に中止し, 再燃を念頭においた経過観察を行う.
9) ステロイド治療の効果判定および再燃についての経過観察には, 血清γグロブリンやIgG, IgG4などの血液生化学検査所見, 腹部画像所見, 黄疸や腹部不快感などの臨床徴候を参考にする.

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© 2005 日本膵臓学会
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