肝臓
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総説
日本におけるC型肝炎の疫学,治療および医療経済
鎌江 伊三夫熊田 博光小林 正宏Ward ThomasWebster SamanthaYuan YongKalsekar Anupama井上 幸恵鄭 珠McEwan Phil
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2014 年 55 巻 10 号 p. 589-603

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抄録

我が国において肝・肝内胆管癌を原因とする死亡は肺,胃,直腸および結腸に発生する悪性新生物による死亡原因についで第4位となっている.また,のちに肝癌への進行が予期されるC型肝炎のキャリアは150万~200万人といわれており,C型肝炎への対策は社会にとって重要な役割を担う.本稿では我が国におけるC型肝炎の疫学と治療ならびにC型肝炎ウイルス検診および治療に対する費用対効果の分析事例に関する情報(過去10年)を収集,整理した.その結果,我が国におけるC型肝炎の有病率は高齢者ほど上昇し,難治性のジェノタイプ1b型が大多数を占める傾向があるとの報告が複数あり,また,肝炎の進行速度も高齢者ほど速くなる傾向が認められた.早期発見を目的とした検診およびインターフェロン治療の実施に関する費用効果分析においては,いずれの場合においても費用対効果は良好もしくは費用削減的であるとの報告が複数あることを確認した.

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© 2014 一般社団法人 日本肝臓学会
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