2019 年 30 巻 6 号 p. 862-865
要約:平成30 年(2018 年)12 月に,「脳卒中・循環器病対策基本法(脳循法)」が成立した.本稿では,成立までの経緯,法律の概要,今後予想される展開について解説した.本法は2019 年12 月1 日に施行され,直ちに国の循環器病対策協議会が組織され,そこで「循環器病対策推進基本計画」が策定される.この基本計画に沿って,各都道府県に設置される(努力目標)「循環器病対策推進協議会」で,各地域の実情に応じた具体的な推進計画が策定され,実施される.本法により,全国レベルでの予防の進展,発症時から在宅までの継ぎ目のない保健・医療・福祉サービス体制の確保,患者・家族の生活の質の改善などが期待される.基本計画は少なくとも6 年ごとに,plan-do-check-act (PDCA) cycle を回して見直される.ただし,深刻な地域格差の改善,法律の名称変更問題,学校教育に関する条項追加など,本法律の見直しも必要であろう.