肺癌
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症例
原発性肺癌に合併した良性転移性肺平滑筋腫の1例
角田 佳彦田中 浩一萩原 優森 雅樹斎藤 司兼子 聡
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2009 年 49 巻 4 号 p. 445-449

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抄録

背景.良性転移性肺平滑筋腫,benign metastasizing leiomyoma(以下BML)は,子宮筋腫の既往を有する女性において,組織学的には良性である子宮筋腫組織が肺に発生する稀な疾患である.今回我々は原発性肺癌に合併したBMLの症例を経験したので報告する.症例.症例は51歳,女性.38歳時に子宮筋腫にて単純子宮全摘術を受けた既往がある.健康診断の胸部X線にて左肺異常陰影を指摘され当院を受診した.胸部CTで左S10に1.9×1.8 cmの辺縁不整な充実性腫瘤と,両肺に3∼7 mm大の小結節陰影を19個認めた.確定診断及び治療方針決定のために胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.病理所見より左S10の病変は原発性肺腺癌,小結節病変はBMLと診断した.後日,肺癌に対する根治目的に左肺下葉切除及びリンパ節郭清術を施行した.現在,術後12ヶ月経過しているが肺癌の再発は認めておらず,その他残存した小結節陰影についても増大なく経過している.結論.BMLは現在までに文献上123例の報告があるが,原発性肺癌に合併した報告は本例が初めてである.

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© 2009 日本肺癌学会
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