肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
症例
クリゾチニブによる好中球減少に対し少量の副腎皮質ステロイド剤を使用したanaplastic lymphoma kinase遺伝子転座陽性肺癌の1例
豊田 容輔佐久川 亮別所 昭宏堀内 武志細川 忍渡辺 洋一
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2014 年 54 巻 2 号 p. 78-83

詳細
抄録

背景.クリゾチニブの有害事象の1つとして好中球減少が報告されているがその機序は不明である.症例.46歳男性.心タンポナーデを発症し,癌性心膜炎および脳転移を有する肺腺癌と診断された.心膜癒着術および全脳放射線照射施行後にカルボプラチンとペメトレキセドによる化学療法を2コース施行したがprogressive diseaseとなった.その後,anaplastic lymphoma kinase(ALK)遺伝子転座陽性と判明し,クリゾチニブ500 mg/日を開始した.2週間で腫瘍縮小効果を認めたが,同時にgrade 3の好中球減少を合併し,休薬後も遷延した.プレドニゾロン10 mg/日を開始後,好中球減少は速やかに改善した.クリゾチニブ同量での再開が可能となり,治療再開6ヶ月後も著効を得ている.結論.クリゾチニブによる好中球減少に対し,少量のステロイド剤が有効でクリゾチニブ投与継続が可能となった1例を経験した.

著者関連情報
© 2014 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top