日本気管食道科学会会報
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症例報告
嚥下改善手術が有効であった深頸部感染症治療後の嚥下障害の1例
原 浩貴今手 祐二堀池 修奥田 剛山下 裕司
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2001 年 52 巻 5 号 p. 414-419

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抄録

深頸部感染症は高齢者や糖尿病等の基礎疾患を持つ患者に発症した場合,時に致死的になる疾患である。したがって治療は救命を第一に考える必要があり,治療後にいろいろな後遺症を残すことがある。今回われわれは,頸部のガス壊疽の治療後に嚥下障害をきたした症例を経験した。症例は糖尿病を基礎疾患としてもつ80歳の女性で,頸部の外切開と可及的なデブリードメントを行い救命し得たが,消炎後に嚥下障害をきたした。ビデオ造影検査の結果,喉頭の挙上が不良であったため嚥下改善手術として舌骨吊り上げ術,輪状咽頭筋切断術を行った。術後2カ月間の嚥下リハビリテーションを行った結果,経口摂取良好となり退院となった。嚥下障害の原因は,深頸部感染症の高度の炎症と舌下筋群などのデブリードメントの影響によるものと考えられた。

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