西日本皮膚科
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症例
D-ペニシラミン誘発性疱疹状天疱瘡の1例
阿部 俊文河野 通良山本 暢宏森 理橋本 隆天谷 雅行
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2003 年 65 巻 2 号 p. 126-129

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抄録

74歳女性に生じたD-ペニシラミンにより誘発されたと考えられる疱疹状天疱瘡の1例を報告した。15年前に近医整形外科にて慢性関節リウマチと診断され,4年8ヵ月前よりD-ペニシラミンを内服していた。全身のそう痒とともに右大腿部と腰背部に辺縁に小水疱を伴う環状の浮腫性紅斑が出現し全身に拡大してきたため当科に紹介された。組織像では表皮内水疱を認め,好酸球性海綿状態を伴っていた。蛍光抗体直接法および間接法においてIgG抗表皮細胞間抗体を認めた。免疫プロット法では陰性であった。ELISA法では初期の血清では,抗デスモグレイン(Dsg)1·Dsg 3抗体とも陰性であったが,後に抗Dsg 1抗体のみ陽性となった。以上の臨床症状,検査所見と薬剤誘発性天疱瘡を好発するD-ペニシラミン内服の既往よりD-ペニシラミン誘発性疱疹状天疱瘡と考えた。

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© 2003 日本皮膚科学会西部支部
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