1999 年 61 巻 1 号 p. 62-66
58歳男性。30年来の左上肢屈側に線状配列したeccrine spiradenomaのうちの1個が, 約半年間で母指頭大に急激に増大した。病理組織学的に, 真皮浅層に好塩基性の細胞とやや明るい細胞質を有する2種の細胞よりなるeccrine spiradenomaと異型細胞より構成された嚢腫様構造を同一切片内に認めた。両者の連続性は明らかでなかった。電顕では, 核は切り込みを有し, 核小体は明瞭で, 膨化したミトコンドリアが多数認められ, また細胞間には多数の微絨毛も認められた。以上の所見より, multiple eccrine spiradenomaから生じたmalignant eccrine spiradenomaと考えた。