日本歯周病学会会誌
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ラット皮下へのハイドロキシアパタイト―骨原性細胞ハイブリッド体移植による異所性骨形成
五味 一博小林 禎子小鮒 正明金指 幹元平井 美菜子新井 高
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1997 年 39 巻 4 号 p. 503-512

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抄録

最近, guided tissue regeneration (GTR) 法により, 新付着や骨の再生が生じること, bonemor-phogenetic protein (BMP) が人工骨欠損部ないしは異所性に明らかな骨の新生を生じることが報告されている。我々は培養細胞を用いることにより, 新付着を伴った骨の再生を獲得する方法を確立する第一歩として, 培養骨原性細胞と多孔性ハイドロキシアパタイト (HAP) とを複合化したハイブリッド体がin vivoにおいて異所性に骨を形成するかについて検索を行った。
ラット骨髄細胞および骨髄細胞を継代した1代目の細胞を, 骨芽細胞へと分化しうる可能性のある骨原性細胞として用いた。これらの細胞をデキサメタゾン, β-グリセロリン酸およびアスコルビン酸を含むα-MEMを用い, 多孔性HAP顆粒上で1週間培養した。培養骨原性細胞とHAPとのハイブリッド体は移植に先立ちリン酸緩衝液中で3時間培養し, ラット皮下に移植した。移植後5週の試料を組織学的に検索したところ, HAP顆粒表面および内部に骨組織の形成を認めた。しかしながら, コントロールにおいては骨の形成を認めなかった。
以上よりハイブリッド体 (ハイドロキシアパタイトと初代骨髄細胞および骨髄細胞の継代1代目細胞) は異所性 (皮下) に骨組織を形成する能力があることが示された。

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