2014 年 63 巻 2 号 p. 127-131
X線TV用管球プロテクタ (管球プロテクタ) の有無による検査室内の空間線量の変化と各スタッフの立ち位置での空間線量低減率について検討を行なった。測定は散乱体となるファントムを設置し, 電離箱式サーベイメータを使用した。スタッフの水晶体・甲状腺・腹部・生殖腺に相当する高さで測定した。空間線量率の測定による散乱線分布図を作成し, 管球プロテクタによる空間線量低減率を算出した。水晶体・甲状腺の高さでは距離が遠くなるに従い, 空間線量はほぼ一定に低下した。腹部・生殖腺の高さでは寝台長軸方向の空間線量の低下が大きく, 水ファントム・寝台の影響が考えられる。管球プロテクタにより空間線量の75~90%低減と, 寝台付近のスタッフの水晶体・甲状腺の高さにおける空間線量の85~90%低下が明らかとなった。管球プロテクタは散乱線を閉じ込めるように遮蔽するため, 防護衣で防護できない四肢などの被曝低減になる。しかし, 患者の体型・術者の手技により隙間が生じるため, 漏れてくる散乱線を防護するためにも防護衣は着用する必要があると考える。管球プロテクタの有無による空間線量の変化を散乱線分布図の作成により把握することができた。管球プロテクタにより各スタッフの立ち位置で空間線量を75~90%低減させることができるため, スタッフの被曝低減に高い有用性がある。